村田沙耶香「コンビニ人間」読んでみた。
コンビニ店員でしか生きられなく、普通の感情の多くが欠落している「古倉さん」と現実逃避し続ける他者攻撃型ニートの「白羽」の二人を主軸に描かれた作品です。
「古倉さん」は普通の人生をマニュアル化して生きる事には欲求を感じていないが、コンビニという無機質でシンプルで合理的な世界で働くことに欲求を感じている変わった女性です。
「白羽」は自分を苦しめる社会の倫理で他社を攻撃する心の弱い人間です。
この本は「個」を本来それほど必要とされないコンビニ店員という職業で圧倒的に輝いている「古倉さん」の価値観に惹かれる作品です。
古倉さん「だから、難しいなら無理することないんです。白羽さんと違って、私はいろんなことがどうでもいいんです。特に自分の意思がないので、ムラの方針があるならそれに従うのも平気だというだけなので」
彼女はこのように、常にニュートラルな感性で物事を選択しており、まるでコンビニの経営システムのような合理的な目で物事をとらえています。
まったくの別次元の世界で生きている彼女と、ただ普通に生きている人々の温度差に不思議な魅力を感じさせられる作品です。
最後に...
コンビニのように必要不可欠であるが、社会の歯車の1つように代わりが効くような人間には成りたくないと大多数は思うが、私は古倉さんのように自分の存在意義は完璧なコンビニ店員であり、完璧なコンビニには欠かせない部品である。という姿勢には見習うところが多いと感じました。
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